法定後見制度…申立(知っておくこと)

「おひとり様」の見守り~亡くなった後のお手続きまでまるごとサポートします、千葉市稲毛の見守り隊、行政書士の礒貝です。

法定後見制度」の利用は、本人が精神上の障害により、すでに判断力が不十分な状態であります。そして、後見等が開始するのは、家庭裁判所の「後見等開始の審判」があったときです。

家庭裁判所で「後見等開始の審判」までの流れをご説明しますと、まず家庭裁判所に、申立てる人が必要です。その「申立人」になることができる人は民法で決まっています。本人・配偶者・4親等内の親族・未成年後見人・未成年後見監督人・保佐人・保佐監督人…検察官と続きます。

参考までに、申立人で多いのは、本人の「子供」からのものです。次いで「市区町村長」「本人」「兄弟姉妹」の順となっております(「最高裁判所事務総局家庭局/・成年後見関係事件の概況―平成31年1月~令和元年12月-」より)。

申立ての書類は、裁判所のHPからダウンロードすることもできますし、家庭裁判所で一式いただくこともできます。この中の「収支予定表」や「財産目録」の記入や準備が、少しごちゃごちゃしてしまいそうですが、記載例もあるので、その指示通りに落ち着いて準備していきましょう。申立人や候補者以外の「親族の意見書」というものもあります。申立て時に、本人の推定相続人の意見を聞いておくもので、意見書の提出がない親族には、家庭裁判所からその親族に意見を聞かれることもあります。他に「医師の診断書」がありますので、こちらは医師に記入していただきます。

申立ては、直接、家庭裁判所にしますが、家庭裁判所には管轄があります。「本人の住民票に記載されている住所地」又は「実際生活している居住地」を管轄している家庭裁判所となります。

後見人等に「娘である私がなりたい…」と思う人もいるでしょう。申立書の中には「後見人等候補者事情説明書」というものあり、「立候補」や「推薦者」を家庭裁判所に伝えることもできます。ただし「法定後見制度」では、あくまでも家庭裁判所が「後見人等」を選任します。

他に申立手数料もかかりますが、申立てる内容により額が異なります。この費用は、申立人が支払います。申立人が本人ではないのなら、本人のための申立とはいえ、本人の財布から出してはいけません。

申立の書類が揃ったら、家庭裁判所へ提出し、しばらくしてから「後見等開始の審判」と「後見人等の選任」がされます。この期間について、多くは申立てから1か月~2か月くらいとなります。

申立てる前に、知っておく一番大事なことは、一度「後見等が開始されると、本人判断能力が回復するか(あまり期待はできません)、亡くなるまで終わりにはなりません。一時的な理由、例えば銀行口座の解約等で「後見人等」をつける場合でも、その理由が終われば、それで終わり、ではないのです。「後見人等」が報酬を希望すれば裁判所が定める報酬額が与えられます。それが何年も続くのです。

又、一度申立てをしたならば、申立ての取下げには、裁判所の許可が必要になります。「娘の私が後見人に選ばれなかったから申立てを取下げます…」ということはできません。先ほども書きましたが、家庭裁判所が選任した人が「後見人等」になるので、会ったこともない人が「本人」の財産管理や身上監護をするのです。ずっとです。

これが「法定後見制度」の申立…になります。「法定後見制度」については、まだお伝えしたいことがあるので、次は『統計』から見た「法定後見制度」について書いていきます。

*「後見等」とは、「後見」のほか「保佐」「補助」を含みます。