私のことは、私とともに…後見人等への意思決定支援

「おひとり様」の見守り~亡くなった後のお手続きまでまるごとサポートします、千葉市稲毛の見守り隊、行政書士の礒貝です。

「私のことは、私とともに決めてほしい」~意思決定支援をふまえた後見事務のガイドラインを学ぶ~ という後見人等の研修がありました。

後見人の仕事は、本人の「財産管理」と「身上監護」ですが、私自身「この決定は、本人の意思を尊重できたものなのだろうか、後見人等の都合で判断していないだろうか」と選択をしなくてはいけない場面で考えることがあります。

又、本人の意見を伺ったとしても、当の本人も、気持ちが揺れ動くことがあります。たとえば、一人暮らしをしていて体調が悪い時は「施設に入るのもいいのかな…」と思う反面、元気な時は「一人暮らしは気楽でいい♪」と感じます。

「後見人等」がいるということは、すべてをご自身でするには不安な状態である、とはいっても、本人も本当は、自分のことは自分でやりたいし、自分で決めたいわけです。それを「後見人」だからと本人の思いをないがしろにして判断することはよくありません。

ただ、繰り返しますが、後見人は「財産管理」もしています。本人が、あれが欲しいと言った時に、後見人が財布のひもを握っているのです。もっと極端なことを言えば、本人を自宅から施設へ移動していただくこともできてしまいます。このような立場であるので、本人であっても、正直に自分の気持ちを伝えにくいという人もいるでしょう。

本人の意思決定支援をする…後見人だけでできることではなく本人の周りの支援者たちとの協力も必要になるのですが、せめて後見人と本人の信頼関係を作らなくてはいけないと改めて思う研修でした。

法定後見制度…申立理由(統計を見る)

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今回は『法定後見制度』について統計から、この制度について見ていこうと思います。

統計は、裁判所HPの『成年後見関係事件の概況』「―平成31年1月~令和元年12月-」からです。

まず後見等の「申立件数」ですが、こちらは毎年増えているわけではありません。平成31年(令和元年)は35,959件で昨年より590件減っています。かと言って毎年減少しているのではなく、増えて減って増えて…と、ここ5年繰り返しながらも少~しずつ増加しています。「申立件数」の増え方はこのようでも、『法定後見制度』の利用者数は、この令和元年の1年では、224,442人で前年比+約2.9%。毎年増えているのです。とはいえ、令和元年9月15日での日本の高齢者数は、3,588万人(総務省統計局より)ですから、この数は少なく感じますね。

ちなみに『法定後見制度』3種類ありますが、この「申立件数」で一番多いのは「後見」です。「後見」が約26,500件、「保佐」が約6,700件「補助」が約2,000件です。一度後見等が開始がされれば一生続くものですので、「誰かにお願いするしかない」という状況に本人がならないと『法定後見』の申立はしないのかもしれません。

本人の年齢別割合」を見てみると、男性は80歳以上が約35%ですが、70代も約27%と多いです。女性は80歳以上で63%、70歳以上は約19%と、男性女性とも高齢者が過半数以上を占めています。「開始原因」は「認知症」が一番多くて63.3%です。続いて「知的障害」「統合失調症」です。ただ、この二つは10%以下となっています。「本人が高齢者で認知症」という人で、申立をしているのが多いのが分かります。

気になる「主な申立の動機」については、何だと思います(・・?

答えは「預貯金等の管理・解約」でした。よく聞かれるのが、親が施設へ入るので、入居金を支払うために、親の預金を引き出そうと銀行の窓口に行ったら「ご本人でないと下ろせません」と、子供であっても引き出すことができなかった。ただ親本人は認知症で自分の名前も書けない状態で、そのことを窓口で説明すると、後見人をつけるよう言われた、との話。

確かに子どもと言えども本人とは別の人間なので、引き出して自分のために使ってしまうかもしれない…そうなると、本人以外の人にお金を渡した銀行の責任問題になってしまう恐れもあります。しかし子供からすると、目的は親本人のために使うのに、そのお金を引き出そうとして、何で窓口で止められるの、と憤りを感じるのもわかります。

あらかじめ銀行に「代理人」を指名して手続きをしておけば(『代理人届』の提出)指名された人が代わりに預金の引き出しをすることもできますが、そもそもそのような準備はしていないでしょう。

今月18日に全国銀行協会は、認知症高齢者の預金を、親族が引き出すことに条件付きで認める見解を出しました。ただ、これが浸透するにはまだ時間がかかると思います。

統計からズレてしまいましたが「主な申立の動機」、2位は「身上監護」、3位は「介護保険契約」、「不動産の処分」、「相続手続き」…と続きます。

もう一つ、この統計からお伝えしたいことは「成年後見人等と本人の関係」です。親族以外(弁護士、司法書士、社会福祉士等)が78%親族が22%であることです。親族では「子」が53%ではありますが、あくまでも22%のうちの53%です。最高裁判所は、令和元年3月に基本的な考えとして、本人の身近に後見人にふさわしい親族がいるのなら、親族後見人を選任するのが望ましいと言っていましたが、それが数字としてでてくるのはまだまだでしょう。

ワクチン接種が日本でも

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昨日(2021/2/17)日本で新型コロナワクチン(アメリカの製薬大手ファイザーが開発)の接種が始まり、この日125人が接種しました(厚生労働省HP新型コロナワクチン接種実績より)。第一号は東京医療センターの院長でしたね。

初日の接種による死亡や急激なアレルギー反応「アナフィラキシー」の発生報告はなかったようです。このワクチンは、16歳以上が対象、原則3週間の間隔をあけて2回接種することになります。

ワクチン接種が始まったので、今後「人にうつしてしまったら…」という心配から解放されるのですね。

感染者が急増していた1月でも、私の周辺では有難いことに感染した人はいませんでした。緩みがちになる気持ちとの葛藤で、『千葉美浜楽生会』の延期やジムへ通うのも控えていましたが(ジムは健康維持のため行ってもいいのでしょう…太っちゃったし★)このワクチンのおかげで気持ちが少し明るくなりました。

予定では、4月から高齢者を対象に接種を開始し、次に基礎疾患のある人や高齢者施設の職員などを優先しながら実施。「その他」の人は住んでる地域によって接種時期がまちまちのようです。

とはいえ、ワクチンの確保もまだこれからですし、気持ちが晴れるのはもう少し先のようです。今日のブログは『備忘録』のようでした。

法定後見制度…申立(知っておくこと)

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法定後見制度」の利用は、本人が精神上の障害により、すでに判断力が不十分な状態であります。そして、後見等が開始するのは、家庭裁判所の「後見等開始の審判」があったときです。

家庭裁判所で「後見等開始の審判」までの流れをご説明しますと、まず家庭裁判所に、申立てる人が必要です。その「申立人」になることができる人は民法で決まっています。本人・配偶者・4親等内の親族・未成年後見人・未成年後見監督人・保佐人・保佐監督人…検察官と続きます。

参考までに、申立人で多いのは、本人の「子供」からのものです。次いで「市区町村長」「本人」「兄弟姉妹」の順となっております(「最高裁判所事務総局家庭局/・成年後見関係事件の概況―平成31年1月~令和元年12月-」より)。

申立ての書類は、裁判所のHPからダウンロードすることもできますし、家庭裁判所で一式いただくこともできます。この中の「収支予定表」や「財産目録」の記入や準備が、少しごちゃごちゃしてしまいそうですが、記載例もあるので、その指示通りに落ち着いて準備していきましょう。申立人や候補者以外の「親族の意見書」というものもあります。申立て時に、本人の推定相続人の意見を聞いておくもので、意見書の提出がない親族には、家庭裁判所からその親族に意見を聞かれることもあります。他に「医師の診断書」がありますので、こちらは医師に記入していただきます。

申立ては、直接、家庭裁判所にしますが、家庭裁判所には管轄があります。「本人の住民票に記載されている住所地」又は「実際生活している居住地」を管轄している家庭裁判所となります。

後見人等に「娘である私がなりたい…」と思う人もいるでしょう。申立書の中には「後見人等候補者事情説明書」というものあり、「立候補」や「推薦者」を家庭裁判所に伝えることもできます。ただし「法定後見制度」では、あくまでも家庭裁判所が「後見人等」を選任します。

他に申立手数料もかかりますが、申立てる内容により額が異なります。この費用は、申立人が支払います。申立人が本人ではないのなら、本人のための申立とはいえ、本人の財布から出してはいけません。

申立の書類が揃ったら、家庭裁判所へ提出し、しばらくしてから「後見等開始の審判」と「後見人等の選任」がされます。この期間について、多くは申立てから1か月~2か月くらいとなります。

申立てる前に、知っておく一番大事なことは、一度「後見等が開始されると、本人判断能力が回復するか(あまり期待はできません)、亡くなるまで終わりにはなりません。一時的な理由、例えば銀行口座の解約等で「後見人等」をつける場合でも、その理由が終われば、それで終わり、ではないのです。「後見人等」が報酬を希望すれば裁判所が定める報酬額が与えられます。それが何年も続くのです。

又、一度申立てをしたならば、申立ての取下げには、裁判所の許可が必要になります。「娘の私が後見人に選ばれなかったから申立てを取下げます…」ということはできません。先ほども書きましたが、家庭裁判所が選任した人が「後見人等」になるので、会ったこともない人が「本人」の財産管理や身上監護をするのです。ずっとです。

これが「法定後見制度」の申立…になります。「法定後見制度」については、まだお伝えしたいことがあるので、次は『統計』から見た「法定後見制度」について書いていきます。

*「後見等」とは、「後見」のほか「保佐」「補助」を含みます。